任意整理の追加介入とは
1 追加介入とは任意整理の対象となる債権者を追加すること
債務整理の方法には任意整理、個人再生、自己破産の3つがあります。
このなかで、任意整理にしかない特徴としては、対象とする債権者を選ぶことができるというものが挙げられます。
例えば、4社から借入れをしていて、そのうち2社に対する債務のみ任意整理をし、残りの2社に対しては従前とおりの返済を続けていくということができる場合もあります。
しかし、任意整理着手後、何らかのご事情によって支払原資(月々の手取り収入から生活費を控除した残額)が減ってしまったなどの理由により、任意整理の対象とする債権者を増やさなければならなくなることもあります。
このような流れで新たに任意整理の対象とする債権者を追加することを、追加介入といいます。
以下、追加介入のメリット、追加介入をする際の注意点、および追加介入ができない場合の対応について説明します。
2 追加介入のメリット
追加介入のメリットは、端的に返済の負担を減らすことができるということです。
一般的には、任意整理をすると、残債務の元金と和解日までの遅延損害金の合計金額を、3~5年間(36~60か月間)で分割して返済することになります。
将来利息がなくなりますので、返済合計額が減ると同時に、任意整理前に比べて月々の返済額を減らすことができます(逆に申し上げますと、任意整理をしても月々の返済額が減らせない場合には任意整理をすることは困難です)。
3 追加介入をする際の注意点
1において、任意整理は対象とする債権者を選ぶことができるという利点がある旨を説明しました。
見方を変えますと、当初任意整理の対象としなかった債権者とは、対象としたくない債権者であることが多いです。
典型的な例としては、保証人がついている債務や、勤務先の関係機関からの借入れ等が挙げられます。
どうしても追加介入をせざるを得ないという場合には、保証人に返済の負担が発生することや、勤務先に債務整理をしている事実を知られることを受け入れる必要があります。
4 追加介入ができない場合の対応
収入の減少ややむを得ない支出の増加などにより、追加介入をしても返済が困難であるという場合には、任意整理以外の債務整理の方法を検討する必要があります。
具体的には、個人再生や自己破産を検討することになります。
これらの方法は、債務総額の大幅な減少または返済の免除が見込めますが、すべての債権者を対象としなければならないため、3で説明したものと同様の注意点が存在します。